彩鳳舞丹霄☆前川 多仁の鬼魔愚零録☆

染織工芸を出自とした美術家、前川多仁の公式Blogです。

レイヤーとろう染めの話

ひっさしぶりのblog...なんか、ついつい三日坊主になってしまうね。。。

 

さてさて、今回は先日、陶芸家の某先輩と雑談をしてて、その考えって僕の作品の根幹をついてるんじゃないの~!って言われてなんとなく分かったこと。。。

 

僕は昔、ろう染め(ろうけつ染め)を技法を使って作品をつくっていました。

ろう染めは、ろうを置いた(ろうで描いた)部分が防染されて染まりません。例えば一番薄い色からスタートし、ろうを置き、染め、2番目に濃い色に残したい色(1番目と2番目の混色)の箇所にろうを置きます。この繰り返しで段々と濃い色へと染めていきます。

大雑把な説明で、ろう染めには、もっと他のテクニックも存在しますが、基本的にはこうした、薄い色から濃い色へ、一色ずつレイヤーのように染めていきます。

 

これが、徐々に僕の中でもっとレイヤーを増やしたい、5枚、10枚、100枚、いや300枚、、、これだけレイヤーを増やすとどんな複雑な絵柄が描けるのか。。。

 

初期はろう染めが3枚レイヤー、PCが5枚レイヤーくらい、、、これが、いつのまにかPCのレイヤーが300枚くらいになったのです。

もちろん、ろう染めで300枚レイヤーなんて不可能です。

 

また、ろう染めは、SDG’sの観点からサスティナブルには向きにくい(ろう染めを否定している訳ではありません)、、、っとある時ふと思い、より最新のデジタルディバイスに可能性を感じるようになりました。

 

例えば、液晶タブレットが、ろう染めのような僕の手の動き(身体性)をより拡張できることに気づきました。

 

また、他方でボールペンのカリカリ感、墨の香り・未だ液晶タブレットで表現できない手の手の動きに対する表情などあるわけで、、、それはもちろん、実物を使い、スキャニングしてPCに取り込みます。

 

こうして、僕の作品はボールペンや墨、いろんな画材をつかって描いたものをスキャンしてPCに取り込んだり、写真等をPC上で加工したり、液晶タブレットでPC上で描いたり、様々なものがレイヤーとなって複雑に重なっています。

 

デザインに詳しい方なら分かると思いますが、そこそこハイスペックなPCをつかっても、300枚以上のレイヤーを使ったらPCはフリーズしてしまいます。

ですから、僕の場合は、何十枚がレイヤーが重なれば圧縮し、また何十枚か重なれば圧縮する繰り返しで、レイヤーの総数を減らしています。

 

こうした様々な要素のレイヤーの重なりは、PC上で行われるものの、実は、原点は「ろう染め」からきている考え方なのです。

 

つまり、ろうを使わない、「ハイスペックろう染め」とでも名付けましょうか。。。

(※正式にデジタル捺染といわれる場合もあります)

 

僕の頭の中では、こうしてデジタルとアナログの差もなく(そこを重視していない)、シームレスにつながっています(なだらかにつながっている)。

 

僕は「ポストデジタル」と勝手に言ってますが。。。

作品「龍鳳呈祥」(H73×W61×D2.5)

作品詳細:前川多仁 「龍鳳呈祥」 MKWPN044pakupakuan.shop

 

身体性の拡張については、とても長くなるのでまた

の機会に。。。

 

 

っという事で、久々のblogでした。。。